前回にものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(以下、ものづくり等補助金といいます)の内容について掲載しましたので、本日はものづくり等補助金の審査項目と申請書類作成のポイントについて紹介させて頂きます。

審査項目について

補助金の申請書類を作成するにあたって、どのように審査が行われるかを知ることが、採択されるためには重要となってきます。

ものづくり等補助金の審査項目については、公募要領にも記載されています。

通常の審査項目として、以下の4つの項目について審査が行われます。

(1)補助対象事業としての適格性
公募要領の9ページから10ページに記載されている補助対象外事業に該当していないか。

(2)技術面
①新製品・新技術・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。
②サービス・試作品等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
③課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込めるか。
④補助事業実施のための体制及び技術的能力が備わっているか。

(3)事業化面
①事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。
②事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。
③補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
④補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

(4)政策面
①厳しい内外環境の中にあって新たな活路を見出す企業として、他の企業のモデルとなるとともに、国の方針と整合性を持ち、地域経済と雇用の支援につながることが期待できる計画であるか。
②金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
③中小企業・小規模事業者の競争力強化につながる経営資源の蓄積(例えば、生産設備の改修・増強による能力強化)につながるものであるか。

の4つです。

(2)の①と(3)の④では、3~5年計画で「付加価値額」年率3%及び「経常利益」年率1%の向上を達成する取組みであるか、(2)の④と(3)では、補助事業の実施のための体制、技術的能力、資金調達能力、遂行方法及びスケジュール、費用対効果など、事業の実現性について審査が行われます。

このほかに、加点項目として、

①生産性向上特別措置法(案)に基づいた、固定資産税ゼロの特例を措置した自治体において、この特例措置の対象となる先端設備等導入計画の認定企業
②有効な期間の経営革新計画の承認(申請中を含む)、または経営力向上計画の認定(申請中を含む)、または地域未来投資促進法の地域経済牽引事業計画の承認(申請中を含む)のいずれかを取得した企業
③総賃金の1%賃上げ等に取り組む企業
④小規模型に応募する小規模企業者
⑤九州北部豪雨の極地撃甚災害指定を受けた市町村に所在し、被害を受けた企業

があり、各要件に合致しているのはもちろん、【様式2】事業計画書の6.その他加点項目の各項目にチェックを付け、公募要領や様式等で求められている記載内容の具備や添付書類(公募要領の22~23ページに記載があります)の提出がある場合に加点されます。

申請書類作成のポイント

さて、肝心の申請書類作成のポイントですが、

1つ目のポイントは、公募要領をよく読んで、不備や不足のない書類を作成することです。

せっかく書類を提出しても、不備のある申請は最初に落とされてしまうので、申請前に必ず確認して下さい。

2つ目のポイントは、革新性が問われる補助金であることを意識して、事業計画を作成することです。

ものづくり等補助金の審査では、【様式2】事業計画書の2.事業計画の(4)事業の具体的な内容に「革新性」があるかどうかが重要視されます。

このため、これまでの事業の中で出てきた改善すべき課題、課題を解決するために必要な技術やアイデアの内容、事業における具体的・定量的な目標を明確にすることが大事です。

また、審査員の方が申請者の会社や補助事業に関する技術やアイデアについて知らないことを前提に、写真やフローチャートなどの図表を活用し、専門用語を使う時には解説を付けて、理解しやすい説明で十分に「革新性」をアピールして下さい。

3つ目のポイントは、事業の実現性も審査される補助金であることを意識して、事業計画を作成することです。

審査では、補助事業の実施のための体制、技術的能力、資金調達能力、遂行方法及びスケジュールだけでなく、費用対効果の大きさや実現性も問われます。

市場調査などのデータを活用し、できるだけ具体的な言葉と数字で、将来の展望を記載して下さい。

以上が、ものづくり等補助金の申請書類作成のポイントです。

公募要領には採択されるためのヒントや注意事項がたくさん記載されていますので、公募要領をよく読んで、3つのポイントを意識しながら、申請書類を作成して下さい。

前回と合わせて、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金の内容、審査基準、申請書類作成のポイントについて紹介させて頂きました。

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金は、応募申請書類に税理士や地元金融機関などの認定経営革新等支援機関の確認書が必要です。

税理士事務所の中には、認定経営革新等支援機関の認定を受けていない事務所もたくさんありますが、当事務所は経済産業省から認定を受けておりますので、ご安心ください。

補助金申請のお手伝いで、中小企業・小規模事業者のお客様が持つ革新的な技術やアイデアを応援したいと思います!!

※掲載した内容につきましては、一般的な条件設定のもとに、説明を簡略しておりますので、具体的な内容につきましては、公募要領を確認されるか、公募要領等に記載の相談窓口にご相談下さい。